パスワード管理ツール「KeePass」のトロイの木馬バージョンによるパスワード奪取攻撃

セキュリティニュース
ここで紹介するニュースは、ほとんどの場合下記の方法で対策できます。
〇 OS、アプリケーション、アンチウイルスのデータベース等を常に最新の状態に保つ
〇 UTM導入等によるネットワーク全体の防御を行う

パスワード管理ツール「KeePass」のトロイの木馬バージョンによるパスワード奪取攻撃

– 5月8日(現地時間)、セキュリティベンダーのWithSecure社より、パスワード管理ツール「KeePass」を狙った攻撃について報告されています。

– 報告によれば、攻撃者はトロイの木馬として動作する不正なKeePassを偽のWebサイトからダウンロード・インストールさせ、KeePassのデータベースに保存されたパスワードだけでなく、ブラウザーに保存された各種認証情報等も奪取するとされています。

– 不正なKeePassは、インストーラーは攻撃者の取得した正規の証明書で署名され、トロイとしての活動以外は本物のKeePassとして動作する等、巧妙な偽装がされていたとのことです。

AUSからの所感 AUSからの所感

単にマルウェアをPCに感染させてデータベースファイルを奪取するのではなく、オープンソースソフトであるKeePassの改造版を用いることにより、それが持つデータベースの読み取り機能を生かしたより効果的なパスワード情報の奪取等を意図しているとみられます。

パスワード管理ツールの形態は、パスワードをクラウド等に保存するサービスと、ローカルに保存するツールとに大きく分けられますが、PCがマルウェアに感染されたり、あるいは今回のようにツール自体にトロイが含まれるものを実行したりした場合、ツールの形態に拘らず全てのパスワードが流出するリスクがあることに特に注意し、アプリの公式サイトや信頼されたアプリストアからインストールするよう心掛けてください。


Steamより過去送信のSMS流出、最大8,900万件も

– 5月13日(現地時間)、米IT系メディアBleeping Computerより、ゲームプラットフォーム「Steam」のユーザーへ過去に送信されたSMSテキストメッセージが外部に漏洩したと報じられています。

– Steamユーザー記録8,900万件以上を保持していると主張するクラッカーからの投稿を受けてのもので、テキストメッセージには受信者の電話番号とSteamのワンタイムパスコードが記載されていたとしています。

– オンライン電話・SMSサービス「Twilio」が侵害を受けた可能性が指摘されていますが、Twilioはこれを否定しています。

– 同15日にはSteamを運営する米Valve社から声明があり、流出は同社のシステムの侵害によるものでもなく、Steamアカウントが特定できる形での電話番号・パスワード・支払情報等の個人データとは関連付けられていなかったとしています。

AUSからの所感 AUSからの所感

SMSでのパスコード送信による認証については、SIMスワップと呼ばれる攻撃でユーザーの電話番号を不正に奪取することによりアカウントを乗っ取る手口が指摘されています。

Steamではスマホアプリと組み合わせてのより安全な多要素認証による保護機構「Steamガードモバイル認証」が提供されており、同様の機構を持つ他のサービスについても、可能な限り設定を行っておくことが推奨されます。


Microsoft等月例のセキュリティアップデート、Chromeも週一のアップデート

– 5月14日(日本時間)、マイクロソフト(以下・MS)より、Windows・Office等同社製品に対する月例のセキュリティアップデートがリリースされています。

– Windowsの最新バージョンはWindows 10 22H2 KB5058379(ビルド 19045.5854)、11 23H2 KB5058405(ビルド 22631.5335)および11 24H2 KB5058411(ビルド26100.4061)等となります。

– この他同13日にはApple社からSafari・iOS・iPadOS・macOS等について、14日にはAdobe社よりColdFusion・Illustrator・Photoshop等12製品について、同15日にはGoogle Chromeブラウザーについてそれぞれ、セキュリティアップデートがリリースされています。

[ 出典 ]
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/2013834.html
https://msrc.microsoft.com/blog/2025/05/202505-security-update/
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/2013833.html
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/2013517.html
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/2014230.html

AUSからの所感 AUSからの所感

MSの月例アップデートでは5件の脆弱性が既に悪用を確認、2件が攻撃手法が公知となっている他、Office・リモートデスクトップサービス等11件が特に危険度が高い(4段階中最高の「Critical」)と評価されています。

Chromeで修正された4件の脆弱性の中には、Webサービスのアカウント乗っ取りに悪用される可能性がセキュリティ研究者によって示されており、最新バージョン(Windows版は136.0.7103.114、Android版は136.0.7103.125)への更新を確実に行うことが推奨されます。

MSの「パッチチューズデー(米国時間での第2火曜日にあたる)」を中心にソフトウェアベンダー各社が定期的に行うアップデート、またWindows 10(およびOffice 2016・2019)については10月15日の無償サポート終了まで半年を切ったことをそれぞれ意識し、特にシステム管理者においてはOS・ファームウェアないし各種アプリケーションのアップデートやリプレースの計画的な実施、加えてアンチウイルス・UTM等による多重防御の実行を適切に行いましょう。