〇 OS、アプリケーション、アンチウイルスのデータベース等を常に最新の状態に保つ
〇 UTM導入等によるネットワーク全体の防御を行う
– 12/11号 目次 –
01. 12月の月例セキュリティアップデート、Microsoft・Adobe等発表
02. 電話で答えたメールアドレスにフィッシングメール…「ボイスフィッシン
グ詐欺」再発受け警察庁が注意喚起
03. Apacheに5件の脆弱点、セキュリティアップデート2.4.66リリース
12月の月例セキュリティアップデート、Microsoft・Adobe等発表
– 12月10日(日本時間)、マイクロソフト(以下・MS)より、Windows・Office等同社製品に対する月例のセキュリティアップデートがリリースされています。
– Windowsの最新バージョンはWindows 11 24H2・25H2 KB5072033(ビルド 26100.7462・26200.7462)および11 23H2 KB5071417(ビルド 22631.6345)となり、修正された脆弱点のうちWindows・Windows PowerShell等の3件が既に悪用が確認ないし攻撃手法が公開済みとされ、またOffice・Outlookの3件について危険度が4段階中最高の「Critical」と評価されています。
– 同日にはAdobe社よりAcrobat(およびAcrobat Reader)・ColdFusion等5製品についてセキュリティアップデートがリリースされています。
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/2069934.html
https://msrc.microsoft.com/blog/2025/12/202512-security-update/
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/2069940.html
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/2070166.html
AUSからの所感
攻撃手法が公開済みとされるWindows PowerShell 5.1での脆弱性(CVE-2025-54100)対策の一環として、「Invoke-WebRequest」コマンドレット実行時に警告プロンプトの表示が追加されており、一部スクリプトの実行時に注意が必要となっています(古いコンポーネントによるHTMLファイルの解析でスクリプトが実行される可能性を抑制するためとされます)。
Windowsについては毎月下旬にもプレビューパッチがリリースされますが、今月は冬期休暇のため、10日リリースのアップデートが今年最後になるとのことです。
MSを中心とした各社のアップデート集中日となっている「パッチチューズデー(米国時間での第2火曜日にあたる)」の他、例えばOracleは来年1月21日にJava等の四半期毎のアップデートを予定しており、このような定期的アップデートのスケジュールについて、特にシステム管理者においては忘れず意識し、OS・機器のファームウェアから各種アプリケーションに至るまで脆弱性への根本的対策としてのアップデートの適用を必須とし、加えてアンチウイルス・UTM等による多重防御策により、適用前の脆弱性への攻撃に備えることが肝要です。
電話で答えたメールアドレスにフィッシングメール…「ボイスフィッシング詐欺」再発受け警察庁が注意喚起
– 12月4日(日本時間)、警察庁「サイバー警察局便り」にて、いわゆる「ボイスフィッシング詐欺」が企業の法人口座をターゲットとして再発・急増しているとして注意喚起が出されています。
– 手口の一例として、銀行関係者を騙ってメールアドレスを聞き出し、そのアドレスにフィッシングサイトへのリンクが記載されたメールを送信、アクセス先で入力させたネットバンキングの認証情報を悪用して不正送金を行うものとなっています。
– 電話の特徴として、発信元番号が「+1 800 *** ****」等「+」で始まる国際電話である、自動音声ガイダンスの後に人間の声に切り替わるといった点も挙げられています。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2512/05/news047.html
https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/pdf/R7_Vol.12cpal.pdf
AUSからの所感
ボイスフィッシング詐欺は昨年秋以降に全国で事例が報告され、各銀行でネットバンキングでの即時振込を一時停止する所が相次ぎ、自動音声による案内や、電話・電子メール・SNS等で契約情報を訊ねることはないと呼びかける事態となっています。
警察庁では本物かどうか確認するために営業店の代表電話に折り返し電話をかけることを推奨しており、その際には安易にメールに記載された電話番号を信用せず、ネット上で本物の番号を検索する、また電話以外にもネットバンキングを利用する際にも予め本物の銀行サイトをブックマークに保存する、公式アプリからアクセスする等が有用です。
また国際電話の着信を拒否する方法も取り上げられていますが、固定電話と携帯電話とでキャリア各社による提供、アプリによる提供等様々な方法があり、また携帯電話への海外からのSMSを拒否する方法もあるものの、正規のネットサービスが海外から送信するSMSを受信できなくなる可能性もあることに留意しながら検討すべきでしょう。
Apacheに5件の脆弱点、セキュリティアップデート2.4.66リリース
– 12月5日(日本時間)、Apache Software Foundationより、Apache HTTP Server(以下・Apache)のセキュリティアップデート2.4.66がリリースされ、5件の脆弱点が修正されています。
– 脆弱点の多くはそれぞれ特定の環境やモジュールが有効な場合に限定されますが、サービス拒否(DoS)状態に陥る、想定外の内容あるいはユーザー権限によるコマンドが実行される等の可能性があるとしています。
– 12月11日現在、Linuxディストリビューション各種でまだアップデートはリリースされていない模様ですが、リリースが確認され次第、適用を推奨致します。
https://jvn.jp/vu/JVNVU97286548/index.html
https://httpd.apache.org/security/vulnerabilities_24.html#2.4.66
AUSからの所感
Apacheでは不定期にセキュリティアップデートがリリースされていますが、2025年7月には2.4.64, 2.4.65の2回、2024年7月には2.4.60, 2.4.61, 2.4.62の3回と同じ月に複数回のリリースが行われています。
脆弱点のうち例えば「CVE-2025-58098」はSSI(Server Side Include)という古い機能とmod_cgid(mod_cgiは影響しないとのことです)との組合せによるものとされ、mod_include(SSIを提供)やmod_cgidを無効化することで回避することが期待できますが、このように使用していないモジュールを拙速に確認して無効化するよりは、Webサイト構築段階で必要最低限のモジュールのみ有効化するアプローチをとる方が安全でしょう。


